-猪苓湯合四物湯(ちょれいとうごうしもつとう)-


猪苓湯合四物湯(ちょれいとうごうしもつとう)の効能

猪苓湯(ちょれいとう)四物湯(しもつとう)を合わせた漢方薬で、猪苓湯を用いる症状で、こじれて長引き慢性的になった人に用います。猪苓湯の症状は、「体力に関係なく、広く使えます。排尿痛、頻尿、血尿、排尿困難、残尿感があり、胸脇苦満や口渇のある人に用います。膀胱炎や尿道炎、尿路結石、腎臓炎などに応用します。」です。血色のよくない人で、尿道炎、膀胱炎などの血尿、残尿感、排尿痛が慢性的にみられるときに使われます。


スポンサードリンク


適応される主な症状

  • 頻尿
  • 膀胱炎、尿道炎
  • 尿路結石
  • 慢性腎臓炎

配合生薬

配合生薬の効能

当帰(とうき)

婦人病の妙薬として、漢方でひんぱんに処方される重要生薬の一つです。漢方では古来、駆お血(血流停滞の改善)、強壮、鎮痛、鎮静薬として、貧血、腰痛、身体疼痛、生理痛生理不順、その他更年期障害に適用されています。

茎葉の乾燥品は、ひびやしもやけ、肌荒れなどに薬湯料として利用されています。鎮静作用はリグスチライド、ブチリデンフタライド、セダン酸ラクトン、サフロールなどの精油成分によります。また有効成分アセチレン系のファルカリンジオールに鎮痛作用があります。

駆お血効果を裏付ける成分として、血液凝固阻害作用を示すアデノシンが豊富に含まれています。また、アラビノガラクタンなどの多糖体に免疫活性作用や抗腫瘍作用が認められ、抗ガン剤としての期待も、もたれています。

芍薬(しゃくやく)

芍薬は漢方処方で最もよく配合される生薬の一つで、主として筋肉の硬直、腹痛、腹部膨満感、頭痛、血滞などに広く処方されています。

主成分のモノテルペン配糖体ペオニフロリンには鎮痛、鎮静作用の他、末梢血管拡張、血流増加促進作用、抗アレルギー、ストレス性潰瘍の抑制、記憶学習障害改善、血小板凝集抑制などの作用が有ります。その他、非糖体ペオニフロリゲノンには筋弛緩作用が認められています。

川きゅう(せんきゅう)

川きゅうには補血、強壮、鎮痛、鎮静があります。漢方では貧血、冷え性、生理痛生理不順など婦人科の各種疾患に利用されています。

有効成分のリグスチライドなどのフタライド類に筋弛緩作用や血小板凝集阻害作用が有ります。またクニジリットには、免疫活性作用が認められています。

古い医学書には性病による各種皮膚疾患、化膿性のできもの、疥癬(かいせん)などを治すと記載されています。

地黄(じおう)

地黄は漢方治療で、糖尿病に用いられる処方の一つ八味地黄丸(はちみじおうがん)の主構成生薬です。地黄にはその調製法により鮮地黄(せんじおう)、乾地黄(かんじおう)、熟地黄(じゅくじおう)があります。

乾地黄には熱を冷ます作用と血糖降下作用がありますが、虚弱体質の方には不向きです。乾地黄の血糖降下作用はイリドイド配糖体のレーマンノサイド類によるものです、その他、乾地黄エキスには血圧を下げる作用が認められています。

鮮地黄には止血や通経作用があり、熟地黄エキスには血液増加作用や強壮効果があります。

猪苓(ちょれい)

猪苓には、利尿、解熱、止渇、制癌などがありますが、中心は利尿作用です。漢方では、水逆の症、利尿、解熱、消炎、抗腫瘍性などを目的に処方されます。

猪苓はマイタケ属のチョレイマイタケで、薬用にするのは地下の菌核です。薬効成分にはアルカリ可溶グルカン、エルゴステロール、2ヒドロキシテラコサン酸などがあります。

アルカリ可溶グルカンには利尿作用や抗腫瘍作用、エルゴステロールには発がん抑制作用、血小板凝集増強作用があります。

猪苓は利水薬ですが、同じ利水薬の茯苓(ぶくりょう)と違って水逆の症を治す要薬とされ、さらに茯苓は補益の薬とされ、長期に服用すると良いとされていますが、猪苓は水を利す作用が強くて、長期の服用は腎臓に良くないとされています。

茯苓(ぶくりょう)

茯苓には、利尿、強心、鎮痛、鎮静作用があります。漢方処方では利尿剤、利水剤、心悸亢進、胃内停水、浮腫、筋肉の痙攣などに茯苓を配合しています。

秩苓とは漢名で、植物名をマツホドと呼び、松の根に寄生するサルノコシカケ科の菌核です。秩苓は菌核に多糖類のβパヒマンを、それにテルペノイドやエルゴステロールなどの成分を含んでいます。

最近の報告では多糖類のパヒマンから誘導されたパヒマランに、細胞性免疫賦活作用が認められています。サルノコシカケ科に共通の抗腫瘍作用とともに、今後の研究が期待されています。

茯苓は民間薬としては使われず、まれに利尿を目的に煎液を飲む程度です。漢方でも配合薬としては汎用されますが、単独では用いません。

滑石(かっせき)

滑石は胃腸で有害物質や水分粘液などを吸着しますので、胃腸炎に有効です。また腎臓の炎症をとりますので頻尿、排尿障害に有効です。

漢方では利尿(膀胱炎や尿道炎)消炎、止渇などを目標に処方されます。

成分は水酸化マグネシウムとケイ酸塩などです。

沢瀉(たくしゃ)

沢瀉には尿毒症の改善、肝脂肪の蓄積抑制、利尿作用などが認められています。

これらにはトリテルペンのアリソールB、およびそれらのモノアセタートが関与しています。また、これらは血中のコレステロール低下作用を示すことが動物実験で確認されています。また免疫活性作用は含有多糖類による効果です。

漢方では利尿薬や尿路疾患用薬、鎮暈薬(ちんうんやく:乗物酔い防止薬)などに処方されます。

阿膠(あきょう)

阿膠には血液の循環、凝固促進作用があります。漢方では補血、子宮の出血、下血、吐血等の止血、滋養、潤燥(乾燥したものを潤す)、鎮痙を目標に処方されます。

動物実験によると、阿膠は筋肉の栄養障害の進行を予防します。これは食物中のビタミンEの酸化防止によると推察されています。

有効成分はグルチン、コンドリン、各種アミノ酸などです。

阿膠は消化されにくい物です。体力が無く胃腸が悪い方が服用すると、嘔吐や下痢を生じやすいので使用は避けてください。


スポンサードリンク


漢方薬の使用上の注意

漢方薬の副作用


スポンサードリンク


の治療ガイド

スポンサードリンク



頻尿/健康

↑ ページトップ